近視の進行抑制
近視とは
近視とは、目に入ってくる光線のピントが、適切な位置ではなく網膜の前であってしまう状態で、近くははっきり見えるのに、遠くはぼやけて見えます。
近視が進行するにつれ眼軸長が伸び、網膜剥離や黄斑変性症、緑内障などの眼疾患を引き起こす可能性が高まります。
合併症発症のオッズ比
近視になる原因
近視になるのは、遺伝的要因と環境的要因の2つの要因があり、強度近視の場合は遺伝的要因で、弱い近視の場合は環境要因の影響が大きいと言われています。
子供の近視が増加しているのは、パソコンやスマートフォンの普及で目を使いすぎていることや、外遊びをしなくなったことなど、子供を取り巻く環境の変化が関係していると言われています。
強度近視の可能性を
減らすためには
小児の早い時期からの
介入が重要
強度の近視になる可能性を減らすためには、小児の早い時期から近視対策を行うことが大切です。
学童近視を抑制することは、強度近視や失明につながる眼疾患にかかる人の減少に繋がります。
当院では1人でも眼疾患にかかる人が少なくなるよう、小児の近視進行抑制に対する予防治療に力を入れています。
学童近視
強度近視
失明に繋がり得る眼疾患
高橋眼科の特長
ほとんどの近視眼では眼軸長が長い
IOLMaster 700
近視の方は、眼軸長(目の奥行きの長さ)が、正常値(23~24mm)より伸びていることが多いです。
当院では、IOLMaster700を用いて眼軸長を測定します。
屈折値測定だけでなくIOLMasterも用いることで、調節麻痺薬を使用せずに近視進行程度を推測することが可能。
近視の進行を抑える治療法
環境要因が原因で近視になった場合、生活習慣を見直すことで、近視の進行を予防することが可能です。
それでも近視が進行してしまうこともありますが、目に優しいライフスタイルを送ることは良いことです。
当院では小児の近視進行抑制に対する予防治療に力を入れています。
『低濃度アトロピン点眼』『オルソケラトロジー』『多焦点ソフトコンタクトレンズ』などの治療をご提供していますので、気になる方は一度ご相談ください。
世界的に広く用いられている点眼薬で、毛様体筋弛緩作用により近視の進行を抑制します。
従来の1%アトロピンでは、近くが見えにくいなどの副作用が強く使えませんでしたが、100倍に薄められた最近のアトロピンは、副作用が少なく近視進行抑制にも効果的です。
- 小学1年生から中学生くらいまでの児童
- 最近急激に視力が落ちている方
- 遺伝的に近視が進行する可能性のある方
- 近視や乱視以外の目の疾患がない方
- 毎晩寝る前に、1滴ずつ点眼。
- 点眼を開始して1ケ月後に、視力検査や副作用が出ていないか検査。
- その後は、3ケ月に1度のペースで検査。
- 点眼薬のみのお渡しや、検査を受けていただけない場合はお断りしております。
- 点眼をご希望の場合は、ご家族の同意書が必要になります。
眩しい・近くが見えにくい・かゆい・胸がドキドキする・眼が赤くなる・喉が渇くなどの副作用が見られることがあります。
副作用が出た場合は、ただちに使用を中止してください。
一般的なコンタクトレンズとは異なり、寝ている間に装着して、角膜形状を矯正する特殊なコンタクトレンズです。
自費診療になりますが、近視の進行制御効果が得られることが判明しています。
対象となるのは軽度の近視の方で、強度近視や眼疾患がある方は装用することはできません。興味のある方は、当院スタッフまでお気軽にご相談ください。
- 近視が軽い群(-1.00〜-3.00D)では、オルソ単独治療群よりオルソ+0.01%アトロピンの併用療法群の方が有意に眼軸長変化量が少ない
- 近視が強い群(-3.01〜-6.00D)では、オルソ単独治療群とオルソ+0.01%アトロピンの併用療法群で、眼軸長変化量に有意差なし
慶大 鳥居
近視の子供に対して行われた筑波大学による10年間の調査で、有効性と安全性があることが示されました。
近視を強度に進行させないために有効的な方法で、開始時期が早ければ早いほど効果の高さがわかります。
当院のオルソケラトロジーについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。
詳しくはこちら
オルソケラトロジーページを見る最近では、お子様の近視の進行を抑制するため、多種多様なデザインの多焦点ソフトコンタクトレンズが開発され、その有用性が示されていますが、一般的には、老視矯正のための遠近両用コンタクトレンズと知られています。(周りの網膜の焦点ボケが軽減されることで、眼軸の伸びが抑えられ、近視の進行が抑制。また、眼に直接装着されることで視線の移動にも追従するため、視軸上から網膜周辺部まで焦点が制御される点で有利とされています。)
現時点でのエビデンス上では、低濃度アトロピン点眼やオルソケラトロジーに次ぐ近視の進行抑制として効果が期待できる治療法と考えられています。最大のメリットは、オルソケラトロジーと同じく、潜んでいる感染性角膜炎の危険性がありますが、その頻度と重症化がより低いと推察される点です。
軸外収差低減SCL
(周辺加入度タイプの累進多焦点SCL)
二重焦点SCL
近視に関する情報
近視は年々増加しており、今では世界人口の約3分の1を占めています。今後も増え続けると予測されており、2050年には全世界の約半数が近視、強度近視は約10%にまで達すると推測されています。
人口の割合
日本でも近視は増加傾向にあります。
1984年から1996年にかけて行われた調査により近視の増加が確認されましたが、その後は調査が行われていませんでした。
2017年に東京の小中学校で近視検査を行い、実態を調査した結果、小学1年生の63%、中学生の95%以上が近視であることが判明し、近視人口が急増していることが明らかになりました。
眼疾患との相関
近視が強度になると、緑内障や視神経症を発症する可能性が高まり、屈折値がマイナスになればなるほど、近視性黄斑症や網膜剥離も発症しやすくなります。
つまり、近視の進行が進むと、失明に至りかねない深刻な眼疾患になるリスクが高まるということです。
近視の発症年齢と強度には密接な関係があり、近視の発症年齢が低いほど、強度が増す傾向があるという報告があります。
そのため、低年齢で近視を発症した場合には、近視の強度が上がり、失明につながる眼疾患のリスクが高くなると考えられます。
適度な休憩が必要です
30~40分に一度は目を休ませたり、ストレッチをするようにしましょう。 毎日1時間以上屋外で遊んでいる子供は近視になりにくいというデータもあるので、日光を浴びながら運動することをお勧めします。
近業作業と近視〜近視進行のメカニズム〜
眼と物との距離が近い状態で作業することを「近業作業」と言いますが、近業作業と近視には深い関係があると昔から言われています。
近業作業をすると、手元にピントを合わせるための調整機能が働き、眼軸長が伸びて近視が進行したり、中心窩で焦点が一致していても、網膜周辺で軸外収差発生していると近視が進行すると考えられています。
近視進行予防における屋外活動の重要性
Roseらは、屋外活動が少なく近業作業が多い子供は近視のリスクが高い一方で、近業作業が多くても屋外活動が多いと近視のリスクが低いと報告。
これは屋外活動の重要性を示しており、屋外活動の何が近視を抑制しているのかという研究が活発になった。
Violet Light(VL)に近視の抑制効果あり
近視誘導すると、本来近視が誘導される眼が、バイオレットライトを照射すると屈折、眼軸長伸長ともに抑制され、近視進行が抑えられている。
My Kids Vision
6つの質問からお子様が近視になるリスクや近視が進行するリスクを推察・アドバイスする、株式会社メニコンによって翻訳されたオンラインツールです。
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My Kids Vision(外部サイト)