一般眼科
老眼
老眼は、病気ではなく、誰にでも起こる老化現象の一つです。
年齢を重ねるごとに、レンズの役割をしている水晶体が硬くなったり、ピントを合わせる調節機能が衰えてしまい物が見えずらくなってしまうのです。
特に、近くを見るときにうまく調整できなくなることが多いようです。
老眼の症状
- 携帯電話や地図・本が見えづらい
- 夕方になると目が疲れる
- ピント(焦点)が合うのに時間がかかる など
治療方法・対策
- 眼鏡・コンタクト
- 老眼で近くが見えづらくなったら、眼鏡やコンタクトレンズを使用して、日常生活に支障が出ないようにすることができます。
老眼を認めたくない気持ちもあるかもしれませんが、無理をせず、早めに眼科を受診して、快適な生活を送れるようにしましょう。 - 多焦点眼内レンズ(老眼日帰り手術)
- 多焦点眼内レンズとは、近方と遠方の両方に焦点を合わせることができるレンズです。
白内障の治療としても利用されており、日帰り手術で装着できます。
強度な老眼の方は、医師と相談して多焦点眼内レンズの利用を考慮することをお勧めします。
眼精疲労
眼精疲労とは、目を酷使したり、目に負担をかけたりした時に生じる目や全身の疲労感のことです。
パソコンや携帯画面の操作によるまばたきの減少、コンタクトレンズの長時間使用による涙の安定性乱れなどが原因で発症することが多いです。
一般的な作業量にも関わらず目の疲れを強く感じたり、回復にも時間がかかるようなら、眼科医に相談しましょう。
眼精疲労の症状
- 目がかすむ
- 目の奥が痛い
- 肩がこる
- ぼやけてくる など
治療方法・対策
- 点眼
- 眼精疲労の症状は、点眼薬の投与で改善が期待できるので、まず試してみましょう。
目の筋肉の緊張を解く点眼薬や、疲れがたまるのを抑える点眼薬などがあります。
像が乱れて見えるなど、ドライアイやアレルギー性結膜炎などを併発している場合は、あわせて治療する必要があります。 - 内服薬
- 点眼薬の効果が不十分な場合、希望者に内服薬を処方することがあります。
一般的な内服薬だけでなく、漢方薬にも眼精疲労に効果的なものがあります。 - 適切な度数のメガネ・コンタクト
- ドライバーの方なら遠方に強いもの、逆にデスクワークなら手元がよく見えるなど、人のライフスタイルによって、必要な視力や見え方は異なります。
そのため、メガネやコンタクトを作る時に、ただ視力を上げるということではなく、自分にとって適切なものかどうかがポイントになります。
見えにくいところをカバーしてくれたり、疲れを予防してくれるかどうかを確認するようにしましょう。
アレルギー疾患
アレルギー性結膜炎とは、花粉などのアレルギー反応を引き起こす物質が目の表面に付着し、結膜が炎症する病気です。
アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)が何かによって、様々な種類に分かれます。
アレルギー疾患の症状
- 目がかゆい
- 白目が赤い
- 目やに
- ゴロゴロする
- 眩しい など
治療方法・対策
- 点眼薬
-
ヒスタミンH1拮抗点眼薬(抗アレルギー点眼薬)
『ヒスタミン』という痒みを引き起こす作用を直接阻止するために用います。主に痒みが強い場合に処方します。
メディエーター遊離抑制点眼薬(抗アレルギー点眼薬)
ヒスタミンが増えないように抑制する効果がありますが、効き目が出るまでに約2週間かかるため、症状が出る前から使う必要があります。
ステロイド点眼薬
重症化した場合にステロイド(副腎皮質ホルモン)点眼を用います。作用が強いため効果もありますが、副作用もあるため医師の指示に従う必要があります。
- 内服薬
- 点眼薬(目薬)だけで症状が治らない場合、抗アレルギー薬を処方する場合があります。
- 外科的治療
- 薬物治療だけでは症状が改善しない場合、ステロイド結膜下注射、結膜乳頭切除、角膜プラーク切除などの外科的な治療・手術で対応する場合があります。
結膜炎
結膜炎になると、白目とまぶたの裏側をつなぐ半透明の結膜が、赤く充血したり炎症を起こします。
細菌やウィルス、またアレルゲンの付着によって生じますが、原因によって種類が変わります。
黄色ブドウ球菌やなどの細菌が感染すると「細菌性結膜炎」で、アデノウィルスなどが感染すると「ウィルス性結膜炎」になります。
さらに、花粉やハウスダストなどが原因の場合は「アレルギー性結膜炎」となります。
結膜炎の症状
- 白目が充血する
- 目やに など
治療方法・対策
- 細菌性結膜炎の場合
- 抗菌点眼薬の投与が基本的な治療となりますが、細菌の種類によっては、抗菌眼軟膏や抗菌内服薬も併用します。
適切な治療が行われれば、1~2週間ほどで完治します。 - ウイルス性結膜炎の場合
- アデノウィルスに効果的な薬剤はないので、炎症を鎮める目的で、非ステロイド性抗炎症点眼薬やステロイド点眼薬を使用します。
また、抵抗力が落ちている結膜に細菌がつかないように、予防を目的として抗菌点眼薬を使用することもあります。
完治までに3週間~1ヶ月ほどかかるとされていますが、ウィルスに対する抵抗力がつくと徐々に症状が治まってきます。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の分泌量が減少したり、すぐに蒸発したり、質が異常になったりする涙の病気で、目の乾きや不快感を感じます。
原因は、パソコンや携帯電話の画面を凝視し、瞬きの回数が減少することによる乾きや、コンタクトレンズを長時間の使用し、涙の安定性が損なわれることなどが考えられます。
深刻なドライアイとして、シェーグレン症候群やスティーブンスジョンソン症候群があります。
ドライアイになると角膜が傷ついてしまうので、治療を行い涙の機能を正常に保つ必要があります。
ドライアイの症状
- 目が疲れる
- 乾いた感じがする
- ゴロゴロする
- 充血する
- 目やに など
治療方法・対策
- 点眼薬
- 症状がひどくない場合、潤いを持たせる点眼薬を用いて症状を緩和させます。
人工涙液、ヒアルロン酸製剤、涙の成分であるムチンや水分の分泌を促す点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)などが用いられます。 - 涙点プラグ挿入
- 点眼薬を用いても効果が得られない場合、目に涙を貯留するために、涙を排出する涙点を閉鎖する外科的処置を行います。
縫い合わせて閉鎖する場合もありますが、シリコンや樹脂で作られた涙点プラグを挿入する方法もあります。 - 悪化要因の除去
- ドライアイを悪化させる原因を除去することも大切です。
例えば、パソコンワークなど長時間ディスプレイを見続けるとどうしても瞬きの回数が減ってしまうので、定期的に休憩を入れるように意識したり、コンタクトレンズの頻度を減らしたり、涙の状態を悪くする内服薬の服用をやめることも一つの方法です。
眼瞼下垂
眼科下垂とは、まぶたが下がり目が開けられない状態のことで、先天性と後天性があります。
原因は、まぶたを引き上げる筋肉の発育異常や腱膜の異常、元々のまぶたの形、加齢やコンタクトレンズの長期使用など様々です。
重症筋無力症や動眼神経麻痺などの基礎疾患が関係していることもあるので、医師に相談することをお勧めします。
眼瞼下垂の症状
- 上の方が見えづらい
- 眉が上がって額にシワがよる
- 目が疲れる など
治療方法・対策
- 手術
- まぶたの中でゴムのような働きをしている「眼瞼挙筋腱膜」を短く縫い付ける手術によって、まぶたの張力を回復させることができます。
ものもらい(麦粒腫)
ものもらいとは、まぶたにある汗や脂を出す線に細菌が感染し、急性の化膿性炎症を起こしている状態で、まぶたの一部が赤く腫れたり、瞬きをすると痛みを感じたりします。
感染力は弱く、他人に移ることはありません。
溜まっていた膿が出て自然に治ることもありますが、重症化することもあるので、抗菌剤を使用した治療をすることをお勧めします。
ものもらい(麦粒腫)の症状
- 目の一部が腫れる
- 痛い
- かゆい
- 充血する
- 異物感
- 白っぽい塊 など
治療方法・対策
- 抗菌薬
- 通常は、抗菌点眼薬や抗菌眼軟膏を用いて治療します。
症状が重い場合は抗菌内服薬を併用することもありますが、だいたい1~2週間ほどで完治します。 - 外科的治療
- さらに症状が進んだ場合は、切開手術をし、膿を出します。
霰粒腫
霰粒腫は、感性を伴わないまぶたの炎症で、まぶたの腫れや痛みなどの症状が見られます。
数日で痛みは収まり、2~8週間すると腫れも自然に引くことが多いです。
長引く場合は霰粒腫を切開して取り出したり、ステロイド注射をすることがあります。
霰粒腫の症状
- 目の一部が腫れる
- 充血する
- 異物感 など
治療方法・対策
- 抗菌薬
- 自然治癒に任せることが多い疾病ですが、症状を悪化させないために、抗菌作用のある外用薬や内服薬を用いた治療も行います。
膿を早く排出するために切開することもあります。
飛蚊症
目の前を蚊のような小さな虫や黒い糸くずのようなものが飛んでいるように見えることを、飛蚊症と言います。
飛蚊症は、心配しなくてよいものと、深刻な病気の兆候の二つのケースがあります。
ほとんどの場合は老化現象の一つで心配いりませんが、急に数が増えた時や症状が強くなった時は必ず検査を受けましょう。
飛蚊症の症状
- 視界で黒い点や糸くずのようなものが動いて見える
- 視線を動かすと追いかけるような動き など
治療方法・対策
- レーザー治療
- 一般的な飛蚊症では、治療をせずに経過観察となりますが、特殊なレーザー光線で浮遊物を蒸散・破砕する治療もありますので、医師に相談してください。